こんにちは!ふきよせです。
待ちに待った、生あんずの出回る季節になりました。
あんずの旬の時期はとても短いですから、見つけたら即買い必須ですよ!
そんな貴重なあんずを、食べたり加工したりしたときに気になるのが、種。
つい捨ててしまいそうになりますけれど、実はあんずの種の核は、杏仁(あんにん)。
そう、杏仁豆腐の杏仁です!
あんずの種の利用法と、私が作っている杏仁豆腐と杏仁酒の作り方をご紹介します。
平成27年12月8日、農林水産省から「ビワの種子の粉末は食べないように」との注意喚起がありました。
あんずは、びわと同じバラ科の植物で、同じように毒性があります(記事内で説明があります)
こちらの記事でご紹介するレシピは、体験上中毒症状が出たことは一度もありません。
しかし、毒性があるのは事実ですから、ご自身の責任と判断においてご利用くださいますよう、お願いいたします。当方では責任を負いかねますので、ご了承下さい。
あんずの種の効能と利用法
効能
あんずの種を割ってみると、中にはアーモンドのような茶色の薄皮におおわれた核の部分、仁(さね)が入っています。
この核は、杏仁といい、古くから漢方薬として使われています。
杏仁と書いて、漢方で使うときは「キョウニン」、食品として使うときは「アンニン」と呼ばれます。
杏仁は、肺と大腸に作用し、ぜんそくや咳止めの治療や便秘治療に使われています。
2000年前の中国では、あんずは杏仁をとるために栽培されていたとのこと。
果実を食べるためではなかったのですね。
利用法
我が家では、新鮮なあんずが手に入ったときには、果肉はほとんどジャムに加工します。
あんずのジャムの作り方は、こちら→
そして、残った種を使って、時間に余裕があるときは本格的な杏仁豆腐を作り、忙しいときには杏仁酒を作ります。
作り方をご説明する前に、1つ注意事項をお伝えしておきますね。
知っていたら、飛ばして読んでください^^
杏仁には、北杏と南杏の2種類があります。
北杏は苦杏仁(くきょうにん)、南杏は甜杏仁(てんきょうにん)と言われ、字のごとく苦味のある杏仁と甘味のある杏仁です。
外見は、ほとんど変わりありません。
日本の食薬区分では、北杏は漢方薬として使うことはできますが、食品として販売することを禁止しています。
これは、北杏のほうが南杏よりも、アミグダリンが多く含まれているためです。
アミグダリンはバラ科の植物の種子に含まれる青酸化合物で、中毒を起こす可能性もある成分です。
果実酒などに加工したり、しっかり火を加えると毒性は無くなります。
アミグダリンについては、こちら→
本格的な中華料理の杏仁豆腐でも、北杏だけで使われることはなく、南杏と併用して使われています。
現在、安価に出回っている杏仁豆腐は、杏仁を使わず、アーモンドエッセンスを使用しています。
日本で出回っているあんずの種類が、北杏か南杏かは、はっきりとはわかりかねます。
しかし、今まで杏仁豆腐を作って食べてみた体験からすると、北杏のような苦味を感じたことはありません。
また、今回ご紹介するレシピは、アミグダリンが含まれていても、中毒を起こすほどの量は含まれません。ご安心ください。
ただ、小さなお子さんや体力が弱っている方は、通常の大人よりも、少ない量で反応が出ます。万が一、杏仁を使って強い苦味を感じたら、食べさせないようにしてください。
あんずの種を使った本格的杏仁豆腐の作り方
杏仁から作る、本格的杏仁豆腐の作り方をご紹介します。
杏仁を買うと結構お高いですし、手軽に手に入る食材でもありませんから、我が家では、あんずが手に入ったときだけに作る、お楽しみメニューになっています♪
手間がかかりますが、市販の杏仁豆腐とは全然違います!ぜひ味わってみてください。
- 飛び散っても片付けがしやすいように新聞紙を敷きます。
- 種のおへそのような部分(枝についていた部分)に千枚通しの先をあて、金づちで叩きます。
- 半分に割れた種の中から、アーモンドのような仁をとり出します。
※工具を使います。ケガをしないように気を付けてください。
たくさんあんずが手に入ったときに、割るのが面倒になって衝動買いしたのがコレ↓
ほとんど出番がありませんが…苦笑
下準備
- とり出した杏仁を水(分量内)に浸たし、一晩置きます。
- 次の日に、ふやけた茶色い薄皮をとります。
水は使います。捨てないでください。
作り方
- 杏仁と水をミキサーに入れ、細かく砕きます。
すり鉢で擦ってもかまいません。杏仁を細かく砕いてから、根気よく擦りましょう。 - 砕いた杏仁を液体ごとサラシやふきんで濾し、しっかり絞ります。
- 粉ゼラチンを、お湯に溶いてふやかしておきます。
溶かなくても使えるゼラチンもあります。ご利用のゼラチンメーカーの指示に従ってください。 - 鍋に杏仁の絞り汁、牛乳、生クリーム、砂糖、寒天を入れ、火にかけます。
沸騰させないように気を付けてください。 - 沸騰直前で火を止め、60℃くらいまで粗熱をとり、ふやかしておいたゼラチンを加えて混ぜ合わせます。
- さらに粗熱をとってから、型に流し、冷やし固めます。
冷やし固めるときに、液体の表面に空気が入らないようにラップをかけておくと、固い膜のような部分ができてしまうことを防げます。
杏仁の量は、種からとれただけ全部入れています。
50個の種で40gくらいでした。とれた量が少なくても、香りはしっかりつきますので、大丈夫です。
「水と牛乳と生クリームを合わせて500cc」を目安に作っています。
プリンとした固めの食感がよければ、寒天の量を増やしてください。
3の工程で出た、杏仁の絞りかすは、ナッツのように使うことができます。私は、クッキーやグラノーラバーに練り込んで、焼き菓子にしています。
あんずの種の杏仁酒
種を割って杏仁をとり出して…という時間がとれないときは、焼酎に漬けるだけの簡単な杏仁酒を作っています。
飲むのはもちろん、お菓子作りにも使えます。
「種だけでこんなに香りがつくの?!」と驚くほど、香り豊かなお酒です。
下準備
- 保存瓶は消毒しておきます。
消毒の方法はこちら→ - あんずの種はこすり合わせて洗い、果肉をできるだけ落とし、半日ほど乾かしておきます。
作り方
- 保存瓶に、種と氷砂糖を入れます。
- 種と氷砂糖が浸るくらい、ホワイトリカーを注ぎます。
3か月くらいから飲むことができます。
私は1年以上ねかせたほうが好みです。琥珀色が、時間とともに濃くなっていきます。
あんずの種のまとめ
高級中華料理レストランで、杏仁豆腐を食べた時の衝撃は忘れられません。
スーパーなどで手に入る杏仁豆腐との違いに、びっくりしました。今まで食べていたのは何だったのかな…とw
あんずの種から本格的な杏仁豆腐が作れると知ってからは、できるだけ杏仁豆腐を作るようになりました。慣れれば、とても簡単な工程です。
昔から貴重だった杏仁、ぜひ挑戦して食べてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました◎