こんにちは!ふきよせです。
先日の口切りのお茶会で、立派な柿をいただきました。
もう柿がおいしい季節なんだなぁとしみじみ思いながら、
子供の頃にもらった柿が渋柿で、知らずに食べて衝撃だったことを思い出しました。
一度食べると、なかなか口の中の渋みが消えなくてつらいのです…(遠い目)
いただきものの柿や、庭の柿の木にやっと成った実が、
「渋くて食べられたものではない!」ということがあるかもしれません。
けれど!
そんなときでも、決して捨てないでください!!
渋柿は適切な方法で対処すれば、とてもおいしくいただくことができるんです。
ご家庭でできる、渋柿の簡単な渋抜き方法をご紹介します。
渋柿と甘柿の違いは?
柿の種類
柿は大変古くから世界中の人々に食べられてきて、一口に柿といっても種類は1000種もあるとされています。
柿の種類を大きく分けると、渋柿と甘柿に分けることができます。
この分類は、色づいた実を食べたときに感じるのが、渋味なのか甘味なのか、というシンプルな分け方です。
実は、圧倒的に甘柿よりも渋柿のほうが多いんです!!
この渋みは、種が成熟するまで、虫や鳥などに食べられないようにする防御機能です。
種が十分に成熟すると甘くなり、動物に食べてもらって遠くまで種を運んでもらうのです。
渋柿でも、樹木についたまま完全に成熟すると、しっかりと甘くおいしくなります。
主な品種:富有柿、次郎柿、松本早生富有柿
一つの果実の中でも、甘い部分と渋い部分が混在することもあります。
主な品種:西村早生柿、筆柿
主な品種:平核無柿、刀根早生柿、蜂屋柿、富士柿、市田柿
渋の正体
渋柿と甘柿の違いは、柿の実に含まれる渋みの成分、タンニンの状態の違いです。
タンニンが水に溶ける状態(水溶性)になっているか、溶けない状態(不溶性)になっているかで、食べた時に渋みを感じるか感じないかが決まります。
タンニンが水に溶ける状態であると、口の中の唾液に溶けて、渋みを感じます。
つまり、渋柿のタンニンは水溶性で、甘柿のタンニンは不溶性ということになりますね。
柿を切ってみたときに、黒い点々が入っていることがあります。
この黒い点々はタンニンが固まったもので、不溶性のタンニンです。
ですから、切ってみて黒い点々が多くある場合は、柿が甘くなっている可能性が高くなります。
柿の渋抜き方法
スーパーマーケットや果物屋さんで購入する柿は、どれも甘くておいしいですよね。
店頭に並んでいる柿は、甘柿だけだと思われるかもしれませんが、なんと渋柿も混ざっています。
お店の不完全甘柿や渋柿は、出荷前に渋抜きの工程を経ているのです。
渋抜きとは、タンニンを不溶化させて、食べた時に渋みを感じなくさせることです。
お湯を使用したり、アルコールを使用したり、ドライアイスを使用したり、様々な方法があります。
今回は、ご家庭で簡単にできるアルコールを使用した渋抜き工程をご紹介します。
我が家も親戚から渋柿をもらったときは、この方法で甘くしています。
丁寧に行えば、ほぼ失敗なくできますよ。
- 小皿に焼酎を1cmほど入れます。
- 柿を逆さにし、5~10秒間、へたを焼酎につけます。
- 実についた焼酎をキッチンペーパーなどで拭きます。
- へたが下になるように、ビニール袋に入れ密封状態にし、袋の口をしばります。
- 柿は7~12日で甘くなります。
柔らかくなりすぎないように、一週間が過ぎたら確認しましょう。
こちらは一気に渋抜きをする方法です。
用意するもの:柿1kg、35℃焼酎(ホワイトリカー)10cc、新聞紙、厚手のビニール袋、段ボール箱、霧吹き
- 段ボール箱の中にビニール袋を広げ、柿を敷き詰めます。
私はへたが下に向くように入れています。 - 敷き詰めた柿の上に新聞紙を敷きます。
- 新聞紙に焼酎を霧吹きでかけ、新聞紙を湿らせます。
- 密封状態にし、袋の口をしばります。
- 柿は10~12日で甘くなります。
柔らかくなりすぎないように、一週間が過ぎたら確認しましょう。
柿にアルコールを吸わせると、柿が酸欠になり、柿のタンニンとアルコールのアセトアルデヒドが結合し、タンニンが不溶性に変化します。
焼酎ではなくても、ブランデーなどアルコール濃度が高いお酒であれば、渋抜きできます。
柿の渋戻りとは?
渋戻りのしくみ
渋抜きをした柿は、お店で売っている柿のように、そのままおいしくいただくことができます。
しかし、渋抜きをした柿は、加熱すると渋みが戻ってしまうことがあります。
この現象を渋戻りといいます。
「柿ジャムを作ってみたら、苦くなってしまった」
「柿は苦くなるから調理するのは難しい」
そんな風に言われることがあります。
これは渋抜きをした渋柿を加熱してしまって、渋戻りが起こってしまった典型的なパターンです。
渋抜き工程で作られた不溶性のタンニンとは、タンニン同士をくっつけて大きな粒子にし、舌の上で溶けない大きさになったタンニンのことです。
タンニンそのものが消えたわけではありません。
加熱すると、大きくなっていたタンニンの結合が再び離れ、舌で感じる大きさに戻り、水溶性のタンニンになってしまうのです。
渋戻りの対処方法
もし、柿を調理して苦くなってしまったら、たんぱく質の含まれた食材と合わせます。
タンニンがたんぱく質と結合すると、渋抜き工程と同じようにタンニンの粒子が大きくなり、舌に苦味として感じられなくなります。
牛乳や卵を使った焼き菓子に使ってみたり、ヨーグルトに加えてみてください。
苦みを感じずに食べることができますよ!
肉や魚の煮込み料理などに使えば、柿独特の甘味とコクのある味付けになります。
生クリームやチーズと合わせてもよいでしょう。
「しまった、渋抜きの柿だった!」とわかっても、おいしく食べることができますので、あきらめないでくださいね^^
渋柿のまとめ
お店で購入するときは、生食の場合は影響ありませんが、用途によっては甘柿の品種を選ぶと、渋戻りを避けることができます。
私は、ジャムにするために大量に購入するときは、甘柿を選んでいます。
お店で販売されている柿は全て甘いので、渋柿を知らない世代の人達も多いかもしれませんね。
一概にはいえませんが、細長い柿は渋柿の可能性が高いです。
実家にあった柿の木は、一年おきに甘くなったり渋くなったりする不完全甘柿でした。
見た目ではまったくわからなかったので、とりあえず少し食べて判断していました。
柿は、みずみずしかったり、ねっとり濃厚だったり、品種によって味が全然違います。
シャキシャキしていたり、とろけるようだったり、熟成具合によって食感も変わります。
栄養価も高く素晴らしい果物ですので、渋柿を恐れずに、いろいろな品種を食べてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました◎